イベントレポート DAY1
2/28(日)13:00〜19:00

「土地本来の力」とは?

DIG TOYAMAのテーマである、「土地本来の力」を借りた、
真にサステナブルな社会へ。
ここでいう「土地本来の力」とはなにか、
地域のキーパーソンの話から深掘りする。

第1部

キーノートスピーチ

有限会社土遊野
代表取締役
河上 めぐみさん

食べることと命をいただくこと、
人と自然が離れてしまっている

ときに限界集落といわれながら、都市生活にはない豊かさにあふれる日本の里山。そのひとつである富山市土(ど)で、河上めぐみさんが営むのが有畜複合循環型有機農業だ。野草を飼料に、鶏糞を肥料に、というふうに資源をいかしきり、養鶏、稲作、野菜栽培などをおこなう。そうした日々のなか大きくなっているのが、「子どもたちの未来に責任ある仕事をつくりつなぎたい」という想い。見学・体験では鶏をしめたりもしており、参加した子どもへの影響を心配する声に、「食べることと命をいただくこと、人と自然が離れてしまっている」と危惧を抱くという。しかし、河上さんにとって、里山は無限の可能性を秘めた場所。「ここに立つことで見えてくることがあるとおもいます」と展望を語った。

感想

  • なにかをつくりだす楽しさにあふれていて、里山の可能性を感じた。
  • 食べる=命をいただくを体感することを具体的な取り組みにできれば。
  • 高齢化、収益化、差別化などの課題に対し、
    IT活用を含めどんな解決策があり、どんな将来像が描けるのか。
  • 国土が狭く交通網が密な日本なら、
    東京で働いて地方で農業を支えるダブルワークができるのでは。
  • 従業員に移住者がいらっしゃるとのことでその声も聴きたい。

感想を受けて河上さんは、「日本の農業を支えてきたのは兼業農家です。兼業=ダブルワーク。だから、仕事をしながら食料をつくるということをもっと伝えてもいいのではないかと感じました。他にも教育や福祉への展開が考えられ、あらためて里山の無限の可能性に気づけた時間になりました」と語った。

The 1st DIG
CRAFT CULTURE

ものづくり企業体験

株式会社能作
竹内 邦子さん

地方創生の基本は郷土愛の育成である

鋳物のまち高岡に根を下ろし、100余年にわたり鋳物製造に携わってきた能作。この老舗企業がいま積極的におこなっているのが地方創生の取り組みだ。取り組みの指針は、子どもたちの郷土愛を育むこと。シビックプライドを適切に醸成し、地方で誇りをもって働ける環境を創造すれば、東京一極集中からの脱却と真にサステナブルな社会の創出につながると考える。具体的な取り組みのひとつに産業観光があるが、ポイントは"広く"と"深く"。"広く"は鋳物の枠にとらわれないこと、"深く"は職人のリアルを感じられること。後者についてはとくにこだわりがあり、製品をつくる手間・時間や難しさ・厳しさを五感で知ってもらい、ものを大切にする気持ちが生まれるよう、また、ものづくりの魅力が伝わるようつなげている。

質疑応答

デジタル化やオートメーション化できるところがあるのでは。
いずれも考えていないわけではないが、オートメーション化については、別ブランド・大ロット製品への適用となるのではないか。
能作に期待されているのは手仕事であり、手仕事だからこそできる製品があると考える。
製品の発案をおこなっているのは。
代表が6割、社外デザイナーが4割を担っている。じつは能作がブレイクスルーできた理由がここにあって、代表もそうなのだが、地元出身でないからこそ発案できるものがある。
第2部

The 2nd DIG
FOOD CULTURE

郷土料理と発酵文化

発酵料理人
中川 裕子さん

編集者
ワダ ヨシさん

興味をもたせて次世代へつなぐために、
郷土料理をおしゃれにする

発酵料理人中川裕子さんと編集者ワダヨシさんのトークセッションでは、郷土料理の現状や展望についての意見が交わされた。核家族世帯の増加や地域社会との関係希薄化をはじめさまざまな理由から、喪失の危機に直面している郷土料理は少なくない。これを回避しようと中川さんが着目したのが"見ため"だ。地場でとれた産物を盛りこみ、先人が知恵を絞って生みだした郷土料理は、まさに土地本来の力をもつもの。しかし、慣れ親しんでいなければ、食指が動かないものともいえる。「いろいろな郷土料理に出合ってきましたが、やっぱり"見ため"って大事だなと感じたんです。と同時に、おいしいのにそれがまっすぐ伝わらないのはイヤだなと感じました」。つくりかたやあしらいかたで郷土料理をおしゃれに。その先に見据えるのは、郷土料理への興味の喚起、そして、次世代への継承だ。

グループディスカッション

  • すぐにつくれておいしく食べられるものがあふれるいま、特別感を演出したり歴史・文化を説明したり、郷土料理を選びたくなる発信のしかたが必要なのでは。
  • 地域固有のものである郷土料理を、
    広めてビジネスにしていく必要がそもそもあるのか。
  • 郷土料理は見て・つくっておぼえるもので、
    レシピ化が難しいなら継承も難しいように感じる。
  • 若い世代は郷土料理を新しいものと捉えるようにおもう。

ディスカッションを受けてワダさんは、郷土料理を広める是非について、「近代以前にルーツをもつ郷土料理は歴史と風土に育まれた文化であり、これが継承されないことは圧倒的な価値の喪失。まずはこの意識を共有するところからはじめなければいけないとおもいます」と語った。

農業、クラフト、郷土料理と、さまざまなテーマから
「土地本来の力」とはなにかを深掘りしたDAY1。
それは、自然、歴史、文化、さまざまなものが有機的につながりあって、
生みだされた固有の富なのではないか。

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